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論客りゅうちぇるが孤軍奮闘!?番組の保守的な空気に抗い続け多様性を肯定する勇気 と絶賛される

ワイドショーやニュース・情報番組のコメンテーターにお笑い芸人らが進出しバラエティ化が進み、松本人志の『ワイドナショー』(フジテレビ)、激論スタイルが受けている『バイキング』(同)など、バラエティのニュース・情報番組化も進行。

バラエティとニュースの境界があいまいになっている。そこでもてはやされるのは、坂上忍や松本人志に代表されるようなマッチョ親父的説教トークや、小藪千豊やブラックマヨネーズ吉田敬のように世間のネトウヨ的空気に媚びるようなものばかり。

そんな状況のなか、孤軍奮闘している意外な人物がいる。それは、りゅうちぇるだ。

りゅうちぇるは、討論バラエティ『好きか嫌いか言う時間』(TBS)に論客としてレギュラー出演しているが、そこでのりゅうちぇるは、同じくレギュラーの坂上忍やブラマヨの吉田らが支配している番組全体の空気に抗い続けている。

たとえば、「いじめの加害者は実名報道すべき」というアジェンダのときもそうだった。坂上やブラマヨ吉田はもちろん大半のパネラーが「賛成」を掲げるなか、りゅうちぇるは「反対」と主張。

「捕まっちゃうだけでやっぱ食らうと思うし、実名出したらこの人(加害者)の人生も絶対更生できないし、直していけないよ人生」とその理由を語った。

ブラマヨ吉田や、スタジオの一般参加者たちから反論されても、意見を変えることなく、「やっぱり更生しないといけないじゃん? 『自分が悪い』とまず思わないといけないじゃん。実名出した瞬間、(加害者が)ひねくれちゃうと僕は思っちゃう」「実名よりも、捕まっただけで反省できるんじゃないかな」と主張し続けた。

また、日韓関係について討論した回では、デヴィ夫人や評論家・古谷経衡が「竹島はサンフランシスコ条約で国際法的にも日本の領土」「韓国の人は竹島に行ったことがあるの?」などと竹島問題についてケンカ腰で韓国を批判。

それに対し、一般参加者の日本人学生が「半分半分じゃダメなんですか?」と言うと、りゅうちぇるは「そう!めっちゃ言おうとしてた!」と“竹島半分こ論”に同調した。

カジノについても「ずっと怖いイメージ」と反対を主張。共演していたカジノ推進派の堀江貴文がカジノの誘致先として「沖縄推し」と発言すると、沖縄出身のりゅうちぇるはすぐさま「なんでよー!」と不満そうに抵抗。

ホリエモンが沖縄にカジノができるメリットを語るも、「つくるとしたら、無人島、日本の無人島。本当に何かがあったときのこと考えても、何も迷惑をかけない。何もなかったところにポンと建てて、みんなが週末お休みをもらって船とかで行けるような距離感がいいな」と沖縄にカジノはいらないとブレることなく主張した。

外国人労働者がテーマの回で「日本的な職業は日本人がやるべき!」というアジェンダにも、坂上やブラマヨ吉田が「賛成」を主張するなか、りゅうちぇるはやはり「反対」。

「なんか、普通にここにある中華料理店とかイタリア料理店も全然日本人がやってるし、普通においしいし。だから、そういうの(日本的な職業は日本人がやるべきというような考えは)古いと思う」とフラットに意見した。

この真っ当さ。しかしこうした差別や排除を拒否する、ごくごく当たり前の意見が、批判されるのがいまの世の中だ。当然ながら、りゅうちぇるも「お花畑」「甘い」「バカが思いつきで言ってるだけ」などと批判、炎上にさらされている。

たとえば、「竹島、半分こ」に対して「お花畑」「じゃあ、ぺこを半分こしてみろ」と批判されたのはもちろん、いじめ加害者の実名報道反対についても「甘い」「いじめの現実がわかっていない」などとかなり激しく批判され、それを報じたネットニュースでも「いじめの認識が甘かったようだ」などとまとめられていた。

しかし、本当にそうなのだろうか。りゅうちぇるの発言をあらためて丁寧に読み返してみると、いい子ぶってるわけでも、決してただの思いつきで言っているわけでもないことがわかる。

前述したように、りゅうちぇるの意見は、説教オヤジ・坂上や、『そこまで言って委員会』脳に染まったブラマヨ吉田と、ことごとく対立し、坂上・吉田に支配されるスタジオ全体の空気のなかでも孤立している。

いじめ加害者実名報道問題のときなどは、スタジオ全体から激しく反論されていた。そうした空気になったとき、この番組に限らず、その反論に抗えず意見を変えてしまったり、あいまいに終わらせたり、黙ってしまうコメンテーターも多い。

しかし、りゅうちぇるは違う。かなりキツい調子で反論されても、孤立しても、意見がブレることはない。しかも、一方的に自分の主張を繰り返すだけでなく、反対派に自分の意見が届くように角度を変えたり、枠組みをずらしたりしながら、さらに丁寧に再反論してみせるのだ。

たとえば、「日本的な職業は日本人がすべきか否か」という議論で、坂上が「たとえば銀座の1人3万円の寿司屋、そこにガラッと開けたらマイク(番組に出演していたカナダ人男性)が立ってるんですよ、で、握ってる。僕だったら、えっ!!って思うよ」と俗論をぶったときのこと。

りゅうちぇるは「僕も、えっ!!(てなる)」と一瞬同調するのかと思わせたうえで、「変なネックレスって思っちゃう」とすかし、「だけど、やっぱりそういうところってすごい方がきっとマイクさんに教えて、伝統を引き継いでやってらっしゃるんだなって」と冷静に反論してみせた。

つまり、人種や国籍という属性と、その人個人の趣味嗜好とをさりげなく切り分けてみせたうえで、師匠が技術を認めているのに人種や国籍で判断することのおかしさを気づかせたのだ。

これに説得されたのか、坂上も「僕は最初からは無理かもしれないけど、時間をかけてだんだんその人がわかれば……」などと態度を軟化させていた。

「いじめ加害者を実名報道すべきでない」という意見は、「いじめに対する認識が甘すぎる」など激しい非難にさらされたが、それも違うだろう。

りゅうちぇる自身、メイクやファッションを理由に学生時代からからかわれたり浮いていたことを明かしており、いじめられたり疎外される痛みは十分わかっているはずだ。

「セブンティーン」(集英社)2016年12月号では「私はいじられキャラで、イヤだ」という中学生の悩みに、ぺことともにこんなふうに答えている。

大阪ではいじられキャラはクラスの人気者だというぺこが「いじられたら、「それは嫌や」と言っちゃえば……」とアドバイスすると、りゅうちぇるは「そしたらめっちゃ空気が悪くなるんだよね。権力がすべてみたいな学校ではいじられるコは弱いコなんだよ」「僕の学校はカッコいいコとかわいいコしか権力がなくて、それ以外は弱くて、いじられる感じだった」と回答。

いじめじゃなくて、ただの“いじり”というのは、いじめ加害者がよく口にする言い訳だが、いじられる者にとってはそれが詐術であることや、空気を悪くしてはいけないという同調圧力も、りゅうちぇるは敏感に見抜いている。

こうしたりゅうちぇるの姿勢を形作っているのは、多様性へのまなざしだ。

りゅうちぇるといえば、独特のメイクやファッションが代名詞だが、学生時代それを理由に、からかわれたり嫌われたり、浮いた存在だったという。自分を貫ける場所、堂々と自分を表現できる場所として原宿を目指し上京してきたと、自身のブログなどでたびたび語っている。

個性や自分らしさを大切にしたいというりゅうちぇるの信念は確固たるもので、テレビ番組でもその思いの強さをかいま見せたことがある。

昨年7月に放送された『爆笑!いいね動画シアター』(フジテレビ)という番組内で、ドッキリを仕掛けられたときのことだ。ドッキリの内容は、同じ事務所の先輩モデルから嫌いな牛乳をすすめられたり、メイクを説教されたりするというもの。

飲めない牛乳を無理矢理すすめられても如才なく先輩を立てていたりゅうちぇるが、メイクについて「化粧してる男ってありえないんだよね」と説教されたとたん、敢然と反論したのだ。

りゅうちぇるは「自分がいちばんよく見える方法として化粧を選んだり、男の子でもカラータイツをはいたりしている」と先輩を気遣ってにこやかな表情ながらも、きっぱりと主張。

さらに先輩モデルが「男らしくない。子どもができても、そういうパパでいるの? 子どもがかわいそう」などと批判を重ねると、りゅうちぇるはかなり熱い調子でこう語った。

「絶対かわいいパパでいる。人に何を言われても、自分がしっかりしていれば大丈夫」

「人に合わせないで自分の好き嫌いを表現できる子、しっかり自分をもった子に育てるので、お父さんがこうやって言われるのがイヤと思うなら『お父さんって思わなくてもいいよ』って言います。何か言われるのが恥ずかしいと思うような弱い子には絶対に育てない」

「ずっとそう言われて育ってきたので、こうやって言われるのは人生初めてのことじゃない。家族ができて子どもができても、偽りの自分に慣れたら人に何も教えられない」

これは大ブレイクしたいまも、まったく変わっていない。昨年末にぺこと結婚したことで、「パパになったらいまのメイクやファッションをやめるのか」などとしょっちゅう質問されているが、そのたびにりゅうちぇるは変わらず「かわいいパパでいる」と答えている。

りゅちぇるは、社会一般が考えるスタンダードなイケメンや、男らしさ、夫、父親などというものに、まったく興味をもっていない。

自分らしくあり続けること、異物であり続けることで、「ふつう」を押しつけ異物を排除しようという空気に、自身の身を呈して、抵抗しているのだ。

そういう意味では、りゅうちぇるには覚悟があると言ってもいいだろう。リアクションの良さを買われ、あっという間に売れっ子になったりゅうちぇるだけに、当然ながらバラエティの空気は十分に読めているはずだ。

空気を読んだうえで、でも空気に乗っかるのでなく、自分の意見を表明する。空気を読み予定調和を崩さないことに汲々とするお笑い芸人たちとは大違いだ。

多様性に対する信念と覚悟があるからこそ、自分の知識のなさを怖れて中途半端な知識や権威に安易に迎合することもない。りゅうちぇるは、いまの閉塞しきったテレビのなかで、本当に貴重な存在だ。

今後も批判や炎上にさらされることもますます増えるかもしれないが、どうかりゅうちぇるには口をつぐまず、異物を徹底的に排除しようとするこの社会の空気に抗い続けてほしい。

[via:http://lite-ra.com/2017/02/post-2897.html]

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