世界スーパーバンタム級
4団体統一タイトルマッチ
@T-モバイル・アリーナ
◯井上尚弥
vs 8R TKO
●ラモン・カルデナス
ボクシングの世界スーパーバンタム級(55.3kg以下)4団体統一王者・井上尚弥が4日(日本時間5日)、米ネバダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナでWBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)との4団体防衛戦に臨み、8回45秒TKO勝ちした。
2回にはダウンを喫しながらも逆転。敗れたカルデナスは、米メディアの取材に対して意外な真実を打ち明けている。
敗れはしたが、勇敢に戦い抜いた。2回終盤、打ち終わりにカウンターの左フックをかまし、ダウンを奪った。井上にとって昨年5月のルイス・ネリ戦以来、試合ではアマチュア時代を含めて人生2度目のダウン。会場は騒然となった。
その後、モンスターの反撃に遭って敗れたものの、終始、前に出続けるスタイルはファンを魅了した。
カルデナス「見ていなかった」
米専門メディア「ファイトハブTV」は、公式YouTubeで試合後のカルデナスがインタビューに応じた動画を公開。
「試合の結果はどうあれ、気分はいいし興奮しているよ。ここにいられるだけで幸せだし、恵まれていると感じる。ベストとベストの戦い。それこそがボクシングのあるべき姿だ」と井上と戦った後の心境を口にしている。
2回に井上からダウンを奪ったシーンについては「正直言うと、ダウンは見えていなかった。倒れたところは見ていなかったよ」と意外な告白。
「パンチを打ったら、観客から叫び声が上がっていたから振り返ったら、イノウエが倒れているのが見えたんだ。説明が難しんだけど、ホームランを打つ時も『感触がない』みたいに言うでしょ? そんな感触だったんだ」と振り返っている。
2R 左フックが井上にヒットした瞬間
井上に大きなダメージを与えた手応えはあったが「でも、彼は真の戦士のように起き上がって戦いを続けた」とも語っている。
ダウンを奪い、勝てるという気持ちが強くなったか問われると、
「そうでもないかな。(ラウンド終了の)ゴングが鳴ったから。
俺があいつを捉えた時はラウンドの終盤だった。時間がなかったからあまり何もできなかった。
ラウンドの中盤や序盤だったら話は違ったかもしれない。でもそれは神の思し召し。仕方ないよ」
と語っている。
カルデナスはWBA1位のほか、IBF8位、WBO10位の世界ランカー。フードデリバリーサービス(UberEats)の配達員で食い繋ぎ、念願の世界初挑戦を迎えた苦労人だった。
下馬評は圧倒的に不利だったが、試合後の会見で、本人は「イノウエはPFPの偉大な選手だ。ファンの前で彼と対戦したかった。ボクシングは偉大な選手同士が戦うものに戻らないとね。人気者コンテストじゃないんだ」ときっぱり。
強者から逃げてキャリアに傷をつけたくないボクサーもいる中で、堂々と胸を張った。
[via:THE ANSWER]
https://the-ans.jp/news/532343/
【動画】井上 2Rのダウン
リングサイトアングル
THIS RINGSIDE ANGLE pic.twitter.com/yEGgjHVtti
— Top Rank Boxing (@trboxing) May 5, 2025
2R カルデナスの左フックが井上にヒットした瞬間
カルデナスに大善戦を許したワケ
誰がこんなシーンを想像できただろうか。2ラウンドだ。観客数が8474人と発表されたT-モバイル・アリーナが騒然となった。
井上が至近距離から振った左フックをダッキングで頭を下げて外したカルデナスが放ったカウンターの左フックがモンスターの顔面を直撃。キャンバスに尻餅をつく形で両手をついた。まさかのダウンを喫したのだ。
2Rのダウン 冷静に自コーナを確認する井上尚弥
「(ダメージは)足にはきていなかった」
井上はセコンドに向かって右手を上げて「大丈夫」と合図を送り、両膝をついたまま、ダメージを少しでも回復させるためにレフェリーのカウントを「7」まで待ってから立ち上がった。
「非常に驚いたが、冷静に組み立て直すことができた。落ち着いてポイントをピックアップしていくことを考えた」
ちょうど1年前の5月6日、東京ドームでのルイス・ネリ(メキシコ)戦でも1ラウンドに左フックのカウンターを浴びてダウンしている。その経験がより井上を冷静にさせたのだろう。
ネリの左フックがヒットした瞬間[2024/05/06]
【動画】左フック比較
ネリとカルデナス
井上尚弥。ネリ戦、今日のカルデナス戦のダウンは接近戦での左ショートフック。今後も彼らを手本に「死角から、予想外のタイミングで左をぶん回す」は多用されるだろうし、対応は急務になるんでしょうかね。現に今日はダウン以外にもこの左ショートを被弾するなど、ヒヤリする場面が何度も。 pic.twitter.com/8NIsBO1DpB
— MITSU (@m42jp) May 5, 2025
カルデナスもそこで終わるとは考えていなかった。
「起き上がってくるのはわかっていた。彼はパウンド・フォー・パウンドのファイターだ。簡単には負けないと思っていた」
ここからモンスターの大逆襲が始まるわけだが、カルデナスはこの左フックのカウンターが作戦だったことを試合後に明かした。
「彼が入ってくるところを狙っていた。パンチを打つ時にガードが下がることがわかっていた。打ち終わりの隙を狙ってカウンターを合わせるという作戦だった」
作戦を立てたのは、あのマニー・パッキャオ(フィリピン)に土をつけた元2階級制覇王者のディモシー・ブラッド・ジュニア(米国)を育てたことで知られる名トレーナーのジョエル・ディアス氏。
だが、ディアス氏は、ネリ戦を参考にしたわけではなかったという。
「ネリ戦を研究したことは一度もない。映像はちょと見たが、そもそもネリはサウスポーでラモンは右構えだ。ネリ、ドネアと同じにはならない。スタイルが戦いを決める。とにかく井上に集中させた。
1ラウンドに何がうまくいき、何が問題かをチェックした。コーナーでラモンは“井上のパワーは大丈夫だ”と話した。だから作戦を遂行することにした。
ラモンは両手共にパワーのあるパンチを持つ。遅かれ早かれダウンを奪えることはわかっていた。我々の作戦は素晴らしかったんだ」
㊧カルデナス ㊨トレーナーのジョエル・ディアス
クセを見破られていた?
カルデナスは鉄壁のガードを徹底した。高くあげて、しかもジャブで間を抜かれないように拳を縦にして絞っていた。ジャブを突き、グローブの引きを異常なまでに早くする。そして打ち終わりを狙ってのカウンターである。
元OPBF東洋太平洋ライト級王者で、3階級制覇王者のワシル・ロマチェンコと戦った男として知られる中谷正義氏(35)は、「クセを見破られていたのでは?」と指摘した。
「左フックを得意とする相手に近い距離でダッキングで外して左フックをカウンターで狙うのは非常に効果的なんです。
死角からパンチが出てくるので見えない。見えないパンチは効きますよね。同じ左フックでも、ネリ戦のときとは、まったく違う左フック。すぐ思い浮かんだのはデービスの一発です」
ロマチェンコ戦の中谷正義[2021/06/27]
中谷氏は2023年4月にWBA世界ライト級王者のガーボンタ・デービスが“問題児”ライアン・ガルシアからダウンを奪ったパターンに重ねた。
「1ラウンドと2ラウンドのダウンまでは楽勝ペースに見えました。バンバンと打って、相手がひるみ、亀になったところに、2度、3度とさらにバンバンと追い打ちをかけてペースをつかむパターンです。
でもカルデナスはタフで勇気があり下がらなかった。井上選手は左フックが好きなんでしょう。ガルシアのように武器はそれだけではありませんが、左を合わせて打つことを得意としていて条件反射的に出る。
左から踏み込んでいきますが、距離が近いと、上体に力を入るのでどうしても体が開くんです。そのクセとタイミングをカルデナスは狙っていました。かなりそのトレーニングを繰り返してきたんだと思います」
井上も、試合後に「一番感じたのは、凄い対策をしてきたということ。映像で見ていたカルデナスとまったく違った。2、3倍は強かった」と口にしていた。
カルデナスは試合後の会見で「彼が飛び込んできて、ガードが空いているのは見えていた。パンチを打ってきたからそれに合わせた」と振り返った
井上 ダウンから猛反撃
だが、ここから巻き返せるのが、モンスターの凄みだ。
コーナーでの父・真吾トレーナーのアドバイスも的確だった。
「しっかりとカバーを。左を振ってくるからな、一発だけに気をつけて。小さく、小さく。コツコツね」
3ラウンドからジャブから組み立て直した。カルデナスもジャブから右のストレートで応戦。ずっとカウンターを狙い続けてきたが、決定的な被弾は防ぎ、ボディを織り交ぜながら、6ラウンドには怒涛の連打でロープに釘づけにした。
カルデナスをロープに釘づけにする井上
7ラウンドには、また左フックを浴びるシーンもあったが、右ストレートの4連打で、ついにダウンを奪い返す。カルデナスは、ボディブローのダメージの蓄積があったのか、コーナーを背にしゃがみこんだ。
【動画】7R
カルデナスのダウンシーン
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FINALLY! INOUE RETURNS THE FAVOR! pic.twitter.com/JalHJR1uR1
— Top Rank Boxing (@trboxing) May 5, 2025
そしてフィニッシュは8ラウンド。距離を詰めて、右フック、右アッパー、左ボディ、右ストレートのコンビネーションブローで、ロープへ吹っ飛ばすと、炎の猛ラッシュ。
右アッパーが入り、連打をまとめたところでレフェリーが間に入って試合をストップした。
ロープを背負いながらも一発逆転のカウンターを狙い続けていたカルデナスは、「まだ大丈夫だ」とレフェリーに抗議したが、逆に「君を救うために止めたんだよ」と諭されていた。
【動画】
カルデナス 8R TKO
リングサイトアングル
KING ****.
INOUE STAYS ON TOP. pic.twitter.com/Igd1Zo9YxI
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井上は、赤コーナーの一段目のロープに上がって、右手で胸を何度か叩き、総立ちになったファンの大声援にこたえた。
「みなさん、この試合を見ていただき、殴り合いが好きだと証明できたと思います。凄く楽しかったです」
それが第一声。
「非常にタフな相手でした。オッズ的には、かなりの差があったが、相手は必死に倒しにきていた。ボクシングは甘くないと痛感しました」
反省も口にした上でこう続けた。
「理想とする綺麗な終わり方はできなかった。でもカルデナスはいい選手で勇敢に打ちあってくれたので白熱したエキサイティングな試合ができたと思います」
一方でカルデナスは、「パワーがそれほど凄いとは思わなかった。過去にもっと強いパンチを打たれたこともある。ただ、彼の凄いところは6、7、8発と連打ができる部分。それに圧倒された」と評した。
井上 打ち疲れの理由
井上は珍しく打ち疲れていた。腰が浮きパンチを打つバランスも明らかにおかしかった。カルデナスが「凄いとは思わなかった」くらいパンチにパワーが伝わっていなかったのである。
なぜか。中谷氏は、こう分析した。
「ダウンしてからディフェンス寄りにスタイルを変えたので攻撃のバランスが崩れました。打ち疲れが見えたのは、踏み込む足をカルデナスに封じられたからです。近い距離での打ち合いを余儀なくされました。
井上選手は殴り合いが楽しかったと話をしていましたが、彼のパンチに威力が出るのは、強力なステップインで足のパワーがパンチに伝わったときなんです。
でも、今回はカルデナスがスピードのあるジャブから勇気をもって打ちあってきたので、近い距離で上体だけでパンチを打つ時間が増えました。上体だけで強いパンチを打とうとすると、バランスが崩れてスタミナの消耗が激しくなるんです。
井上選手が珍しく打ち疲れたのはその影響です。自分の距離で戦えなかったので、パンチの威力が減り、フィニッシュに時間がかかり、キャンバスに沈めることができなかったんだと思います」
井上 パンチの威力が減退して長引いた?
モンスター攻略法を露呈
そして中谷氏は今後への“不安”をこう指摘した。
「モンスター攻略法をさらけだしてしまいました。カルデナスのようにフィジカルの強い選手ががっちりとガードを固めてジャブから距離をつめて、井上選手の得意な距離でボクシングをさせず、その打ち終わりにカウンターを狙う。
井上選手の主導ではなく、こちらから近い距離で戦い、我慢してカウンターを狙う作戦です。特に左フックにはカウンターを合わせてこられるでしょう。
これからフェザー級に挑戦するのであれば、なおさら相手のフィジカルが強くなるので、その攻略方法が生きてきます。もしかすると、フェザー級への挑戦は厳しい戦いになるのかもしれませんね」
8R TKOでケビン・ゴンサレスを葬ったアフマダリエフ[2023/12/16]
井上の次戦は9月14日に日本でWBA世界同級暫定王者で元WBA&IBF世界王者のムロジョン・アフマダリエフの挑戦を受ける。
12月には3年30億円で契約した「リヤドシーズン」の本拠地サウジアラビアでWBA世界フェザー級王者のニック・ボールに挑戦する計画がある。
中谷氏は、「アフマダリエフのスタイルとフィジカルであれば、この攻略法が通用するかも」と見ている。おまけにトレーナーは、カルデナスと同じディアズ氏。同じ作戦を立ててくるのは間違いない。
ただ中谷氏は、“モンスター殺し”への対策は井上であれば可能だという。
「簡単です。まず左フックを不用意に打たないことです。ジャブ、ワンツー、ボディと井上選手は、左フックがなくても他に武器はいくらでもあります。それをやれば、相手の作戦も空回りします。
それと踏み込みの使える本来の距離でのボクシングを徹底することでしょう。ボクサーは晩年に近づくとファイター寄りになる傾向がありますが、万能型であることを忘れないことではないでしょうか」
井上は計量後のインタビューで2度戦った元5階級制覇王者のノニト・ドネア(フフィリピン)に「あなたはいろんなことを成し遂げてきた。あなたをやる気にさせているものは何ですか?」と質問された。
「まだまだ強くなりたいという気持ちですね」
そう返した無敵のモンスターは、米ラスベガスで突きつけられた課題を実は心の中では喜んでいるのかもしれない。
[via:RONSPO]
https://www.ronspo.com/articles/2025/2025050605/
『BOXING NEWS24』Left Hook Kryptonite Strikes Again:Inoue’s Defensive Flaws Cast Shadow Over Future Dominance
米メディアは激辛評価
米専門メディア『BOXING NEWS24』は「井上の守備の欠陥が将来の優位性に影を落とす」と題する記事を掲載。
「今夜、井上は2Rでカルデナスにダウンを奪われ、攻撃力で挽回する必要に迫られた。そのダウンは左フックによるものだった。
このパンチは井上の弱点であることが証明されつつある。ルイス・ネリやノニト・ドネアと同じパンチで井上は痛めつけられた。井上はガードを下げ、このパンチを食らう隙を与えているのだ」と指摘した。
その上で「この試合は、尚弥がフェザー級に階級を上げても、エリートレベルのファイターを倒すだけのあごの強さがないことを露呈させた。今夜の恐怖の後では、井上が126ポンド級(フェザー級)に階級を上げるとは思えない。なぜなら、その階級ではパンチが強すぎるからだ」と主張。
「安全策としてスーパーバンタム級に留まるとしても、若手選手にKOされるのは遠くないだろう。
今夜の試合は、尚弥がフェザー級に階級を上げた場合、プロモーターがこれまで以上に慎重に相手を選別しない限り、その階級で活躍することはできないことを示した」とまで言い切った。
さらに「井上とWBOフェザー級王者ラファエル・エスピノーザ、WBA同級王者ニック・ボールを試合で組ませるのは無理がある。彼らのパンチは強烈で、井上の弱いあごを突いてしまうだろう」との見方を示した。
[via:東スポ]
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/343487
8R TKOで試合を止めたレフェリー
ストップは早い?正当?
井上は、距離を詰めてからのコンビネーションブローでロープへ吹っ飛ばすと、炎の連打を浴びせる。カルデナスはぐらつき動きが止まった。
右アッパーが入り、猛ラッシュを続けたところでレフェリーが間に入ってTKOを宣告したのである。
井上はコーナーに足をかけて胸を叩き、総立ちのファンの声援に応えた。だが、カルデナスは必死にレフェリーに何かを訴えていた。
試合後の公式会見でカルデナスがそのやりとりの中身を明かす。
「レフェリーが止めた時、私は『大丈夫、大丈夫』と言ったんだ」
すると、レフェリーは「いや、ダメだ。私は、君自身を救わないといけないんだ。今、止めれば、君の将来も大丈夫だから」とストップの理由を説明したという。
「私はクソっと思った。がっかりした。それが現実だ」
カルデナスの戦術は徹底して井上の打ち終わりにフックを振り回すカウンター戦法だった。ガードをかためて、嵐を過ぎ去るのを待ち、一発を狙う。
「私は彼の打ち終わりを狙っていた。彼のガードが下がるのがわかっていたんだ。そのゲームプランはうまくいっていたんだ」
実際、井上も最後までそのカウンターを警戒していた。
「彼は映像で見たより2、3倍強かった。ズレを修正して3ラウンドからはパンチをもらわないようにした。すごいいい選手で、勇敢に打ち合ってくれたので、白熱したエキサイティングな試合ができた」
カルデナスにしてみれば、防戦一方になりながらも、その最後の一発逆転のチャンスを虎視眈々と狙っていたのである。
カルデナスはこう続けた。
「なぜ審判がそんな判断をしたかについて議論するつもりはない。これがボクシング。彼には私には見えなかった何が見えたのでしょう」と皮肉を交えてレフェリーの裁定を受け入れた。
そして会見場に残って井上の会見に同席した勇気のある挑戦者は、「井上はパウンド・フォー・パウンドの最高の素晴らしいファイターだった」と、勝者に最大級のリスペクトの言葉を送った。
だが、このレフェリーの判断は物議を醸すことになった。
WBC世界フェザー級王者 スティーブン・フルトン
フルトン「ストップは早すぎた」
異論を唱えたのは、2023年7月にスーパーバンタム級に転級してきた井上に8回TKO負けを喫してWBC&WBOの世界ベルトを失ったスティーブン・フルトンだ。彼は、その後、フェザー級に上げて再起し、WBC世界フェザー級王者に返り咲いている。
「ストップは予想していたが、シンプルに少し早すぎた」
フルトンは、自身のXにそう投稿した。
「私は何度も彼(井上)を称賛してきた」とした上で「批判する人がいるかもしれないが、あのストップは少し早すぎたと思う」と繰り返し「全体的には素晴らしい試合だった」と激闘となった試合内容を評価した。
SNSでは、このフルトンのXにリポストする形で、ストップが早すぎたのか、それとも正当だったのか、の賛否が飛び交った。
「変なタイミングだった」「カルデナスは一発カウンターを狙っていたのでまずいタイミングだった」「審判は最初から100%止めようとしていた」と、フルトンの意見に同意し、レフェリーの判断を批判する声もあった。
だが、その一方で「もう完全に足にきていた。
正当な判断」という意見も多く、「早すぎたわけじゃない。前のラウンドでコーナーバック(インスペクター)が、『前に出てくるのが見られないなら止める』と言っていた。
だから、(止めるのは)審判か、コーナーバックのどちらか、だったんだ」という専門家のような意見もあった。
また「井上は多額の収益を生み出している。将来の計画もあるので、長引かせるわけにはいかない。審判がきちんと対応してくれた」という深読みしたような声まであった。
結論で言うと、7回にしゃがみこんだカルデナスはボディも効かされ、かなりのダメージが蓄積していた。遅かれ早かれダウンシーンはやってきただろう。
ジャッジのスコアカードは、3人とも、ダウンを喫した2回以外は、すべて井上を支持していた。
カルデナスは、一発逆転しかなかったわけだが、どこかで井上のクリーンヒットを一発もらうと、今後の選手生命にもかかわる危険なダメージを負う可能性もなかったわけではない。レフェリーの判断は正当だろう。
[via:RONSPO]
https://www.ronspo.com/articles/2025/2025050602/
試合全体で220発中108発(49.1%)のパワーパンチが命中
パワーパンチ64発を被弾
ではなぜ、レフェリーは試合を止めたのか。
ボクシングの専門サイト『CompuBox』が集計したデータによれば、挑戦者が主導権を失った6、7、8回で受けたパワーパンチは実に64発。とりわけ6回は52発中33発も被弾するなど深刻な状態にあったことは想像に難くない。
データを加味すれば、咄嗟に「君を救わないといけない」とカルデナスを止めたテイラー氏は、井上が猛攻を仕掛ける中で冷静に試合状況を見極めていたと言える。
一部で疑問が投げかけられた判断は、試合を公平に捌くこと、そして選手のキャリアを守ることを見事に遂行した名ジャッジだった。
[via:CoCoKARAnext]
https://cocokara-next.com/athlete_celeb/naoyainoue-vs-ramoncardenas-20250504-09/
カルデナス陣営は察知
米スポーツ専門局『ESPN』の中継では、7回終了後のコーナーで、トレーナーのジョエル・ディアス氏がカルデナスに指示を送る様子が映された。
「あと1ラウンドだけ与える。なぜか?お前のスピードが落ちているからだ。
相手に圧力かけてぶっ倒せることを示せ!でも、もし止まったら次の回は戻さないぞ!」
井上の強烈なパンチを浴び続け、足がもたつく場面が出始めていたカルデナス。危険を察知した陣営は、ダメージの蓄積を心配していたようだ。
実況のジョー・テッサトーレ氏は「ジョエル・ディアスが1ラウンドだけ与えると言っていました」「彼は強烈なパンチを浴び続けています。7回を終えた時点で101発のパワーパンチを受けているんですから」と理解を示していた。
レフェリーストップのタイミングについて、井上と対戦経験があるスティーブン・フルトンは「そろそろ止められるのは目に見えていたが、単純明快にこれは少し早すぎた」とXで指摘。
他にも同様の意見を表明する米記者もいたが、カルデナス陣営は限界を見極めていたようだ。
[via:THE ANSWER]
https://the-ans.jp/news/533043/
カルデナス「負けたけど、何があろうと戦い抜く証明はできたと思う。ただ、俺はボクシングを愛している。戦うのが好きなんだ。戦場に出向いて、自分の覚悟を示す。そうやって証明するんだ。ボクシングは死んじゃいないよ。
これは“人気”を競う競技じゃない。インスタグラムのフォロワー数で勝負してるわけじゃない。ベストとベストが戦うことこそボクシングだ。負けたのは悔しいけど、イノウエや周りの人たちには感謝をしているし、今は幸せな気分だよ。敗北の中にも見出せる価値はある」
ネットの反応
・階級の壁が見えてきた。
・左フックが弱点だと露呈してしまった
・ピークは過ぎた
・同じように早いRでやられすぎ。
・大舞台で早いKO狙いで気負って攻めた時やられる
・リアクション的に今回のが効いてたよな
・楽な相手が続いてたから緊張感が薄れてたんじゃないかな
・やはりぶん回してくる相手は怖いですね。
・1回ダウンだけでこれだもんな
>階級上げるとその1回が致命傷になりかねない。
・パンチある選手だったらあのまま寝てた
・1階級上のパンチなら2Rで終わってただろ
・相手だってバカじゃないから試合数と比例して攻略もされやすい。
・強すぎる王者は違うパターンで何人もが挑戦しないとその本質すら見えない。誰かが皮を1枚剥がしてそして誰かが1枚。複数で弱点と思われるモノを探していくしかない。その積み重ねは確実に伝わる。無敗は無敵ではない。
・年齢も考えるとフェザーまで上げずに引退か
・業界では井上のパンチ連打後に右が空くクセが知れ渡っててそこに左フック入れる準備をしてくるらしい
・9月にアフマダリエフで12月にニックボールってキツすぎんか
・年間4試合って無理じゃね。
・周りがうるさいから試合間隔が短いな 焦る必要無いからじっくり休んでキレを取り戻せ
・衰えが来る前なら行ける気もするがここ数試合、少し衰え来てるような気もする
・これ次のMJも危なそう
・次の相手の体つきを見ると倒すのは大変そうだね
・アフマダリエフの左右のフックで撃沈濃厚と見ているよ
・さすがに陰りが見えてきたな
・いつもみたいにパンチから破裂音聞こえなかったな
・真吾さんはずっと前から言っている。尚弥はパワーファイターでは無い。突出しているのは、全てのパンチの威力が高く、それがとんでもないスピードに乗って連打でき、且つ的確に急所を狙ってくるところ。貰わないボクシングもできるが、それを望まず打ち崩そうとするアグレッシブさは、まさにモンスターの名に相応しい。
・ちょっと休んだほうがええやろ
・フェザーでやるのはよく考えた方がいいね。ダウン上等は危険すぎる。
・フェザーだと試合する時は65kg越えてる奴がいてもおかしくはないからな
・今みたいにKOにこだわるから不用意な一発喰らうんだよ
・階級上げても勝つだけならアウトボクシングに徹すれば余裕
・フェザーにチャレンジしてならわかるけど、いつまでもスーパーバンタムで雑魚狩りしてる中でのダウンだからな
・井上尚弥だってダウンもするし鼻血も出す
・敢えて打ち合いにいく 本物のファイターだよ
・カルデナスはタフだった。かなり被弾してたはずなのに倒れない
・止めるの早すぎだろw
・あのストップが早いということはないだろうね。
・戦ってしる選手としては、まだやりたかったでしょう。現役のフルトンが選手目線でそう言うのは理解できる。でも、あそこでのストップは安全面から妥当。
・カルナデス陣営は冷静だったと思う。
>ダメージを受けた選手に判断を丸投げするセコンドもいる。レフリーストップしたのは仕方がない。目の前で2回も完全に腰が落ちたのを見てるから。
・打ち終わりのカウンター狙い、というのが陣営の策だったんだろうね。ダウン取ったことで半分は目的が達成されたけど、これ以上同じ策は通用しないだろう、傷が浅いうちにという判断は正しいと思う。
・カルデナスのトレーナーは止めようとしたらレフェリーに先を越された、とも。
・井上と好勝負できた陣営は、変な挑発とか無礼なことをしないとこが殆どやね。挑発したとこは大体ボコボコw
・カルデナスは7回のボディがかなり効いた。それ以降は動きが鈍くパンチのキレもなくなってしまった。
・カルナデスは善戦したが、問題はカウンターしか勝つ方法がなかったこと。つまり、井上の連打を耐えることが前提の闘い方だったのが問題。
・食らった左、中谷のに似てるよな
・井上尚弥がカルデナスに喰らったダウン、あれ完全に“はじめの一歩”で木村が間柴に放ったドラゴンフィッシュブロー。見えない一撃。それをモロニー弟相手にアメリカで決めて年間最優秀KO賞獲ったのが中谷潤人。尚弥vs中谷が実現したら中谷が狙うのは間違いなく“この一撃”。
>中谷にとっては先にやられた感があるかも。自分の秘策を先にやられて対策されてしまうと思っているかもね。
・中谷に負けて引退が一番キレイな終わり方だけどな
・こんな強い王者でも当たり前だけどいつかはKOさせられて引退するんだよな
メイウェザーみたいにディフェンシブな戦法を取ればダウンせず勝てたんだろうけど、スカッと気持ちよくKO狙いにいった結果 殴り合いになってフックを不意に貰ったって感じだな