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【東アジア杯】北朝鮮戦 新戦力のテスト合格者はゼロ。の声

 東アジアカップは「新戦力のテストの機会」と言われる。

 北朝鮮との開幕戦のテストは? 合格者は、ひとりもいなかった。

 今回の東アジアカップに招集された国内組の多くは、海外組との比較で選別される。ストライカーは岡崎慎司を、2列目は本田圭佑や香川真司を押し退けなければ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督のチームでスタメンに食い込むことはできない。

もっと言えば、FWなら大迫勇也や原口元気、2列目なら清武弘嗣や武藤嘉紀との比較で上回らなければ、継続的な招集さえかなわない。

 内田篤人の負傷離脱で指揮官がキャスティングに苦慮する右サイドバックにしても、酒井宏樹と酒井高徳がいる。人材不足ではない。

 北朝鮮戦は7月29日のJ1リーグから、中3日で行われている。翌30日は中国・武漢への移動に費やされたので、実質的に2日間のトレーニングで臨んだ。

 そうは言っても、長距離のフライトに揺られたわけではない。日本との時差も、わずかに1時間である。

 気候の変化もない。武漢の暑さは厳しいが、日本に似ているため順応はしやすい。準備期間の短さが、コンディション作りに著しい悪影響を及ぼすことはないのだ。

 何よりも、海外組には当然の条件ばかりである。欧州から10時間以上のフライトで帰国し、中1日や中2日で実戦というスケジュールも珍しくない。7時間前後の時差も、欧州との気候の変化も、彼らは言い訳にすることはできない。

 だとすれば、中3日で武漢のピッチに立つのは、そんなにも難易度が高いことなのか。試合後のハリルホジッチ監督は「フィジカル的な問題」を敗因にあげたが、それを勝敗の決定的な理由としてはいけないはずである。

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 コンビネーションにしても同様だ。

 運動量が激減した後半のゲーム展開と逆転負けは、ディフェンスの局面で誰がどのようにポジションをスライドさせるのか、あるいは誰がどこのスペースを埋めるのかといった練度の低さが、劣勢に拍車をかけていった結果だった。

 端的に言えば、チームとしての意思統一が欠如していた。ボールを動かすにしても、ボールを取り返すにしても、個人の頑張りに寄りかからざるを得なかったのである。

 だからと言って、「代表初選出の選手が多いから、コンビネーションを発揮できなかった」と片付けるのは、短絡的ではないだろうか。

所属クラブでの積み重ねを発揮できる関係はあり、年代別代表から互いを知る関係も見出せる。そもそも全員がJリーグでプレーしており、それぞれの選手の特徴をイメージすることができる。白紙の状態から立ち上げられたチームではない。

 2011年8月の韓国戦で、清武弘嗣が日本代表デビューを飾った。当時セレッソ大阪でプレーしていた彼のプレーを、同じ右サイドの内田篤人はほとんど理解できていなかった。

清武はこの試合が国際Aマッチデビュー戦で、内田は前年夏にシャルケへ移籍していたからである。

 岡崎に代わってピッチに立った清武に、内田は「どんなプレーをするの?」と聞いた。試合中のコミュニケーションとしてはかなり例外的だが、それでも彼らは連携をはかっていく。

アルベルト・ザッケローニに率いられたチームは、3-0で韓国を下した。清武は2アシストを記録した。

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 時間の無さは即興性でカバーする──少しばかり極端な成功例だとしても、それが代表としての在るべき姿だ。

 北朝鮮相手にプレーした選手が、頑張っていなかったと言うつもりはない。

 開始早々に先制弾を叩き込んだ武藤雄樹は、浦和レッズでのプレーをそのまま代表に持ち込んだ。本職ではないトップ下のポジションでボールを引き出し、パスの出し手としても決定機に絡んでいる。

 武藤の先制弾をアシストした遠藤航も、専門外の右サイドバックで奮闘した。低く速いライナーのクロスは、所属する湘南でお馴染みのプレーだ。

前半終了間際には、宇佐美貴史の左CKから際どいヘッドを浴びせている。これもまた、彼のストロングポイントのひとつである。

 キャプテンでセンターバックの森重真人は、1点目の失点に絡んでしまった。北朝鮮が後半から投入してきたパワープレー要員のFWに、空中戦で競り負けてしまったのだ。

ハリルホジッチ指揮下で吉田麻也とコンビを組む槙野智章も、2失点目の場面で相手選手をつかみきれなかった。

 彼らにも気の毒な面はある。

 北朝鮮がシンプルなパワープレーに活路を求めてきた後半途中から、日本の最終ラインは絶え間ないハイクロスにさらされた。

そのたびに森重と槙野、さらには遠藤が跳ね返していたものの、ペナルティエリア内での競り合いが増えていった。パスの出どころにプレッシャーがかからないために、最終ラインを押し上げることができなかったのである。

 後退を余儀なくされたことで、セカンドボールの行き先に危うさが増していく。その結果がふたつの失点だった。

 キャプテンの腕章を巻いた森重と、ディフェンスリーダーの槙野に求められたのは、北朝鮮のパワープレーに耐えることではなく、相手の攻撃をしのぐための方法論を、具体的に示すことだった。

パワープレーの持続性を奪うために、クリアボールをタッチへ蹴り出すことを徹底させても良かっただろう。それこそが経験を持った彼らの果たすべき役割で、チームとしての練度に頼れないゲームでは、サッカーの原理原則に立ち返るのが最適解だからである。

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 繰り返すが、選手は頑張った。ただ、海外組を押し退けるためには、瞬間的な輝きでは物足りない。結果を伴ったプレーによってのみ、評価を得ることができる。ほとんどすべてのポジションに、2人以上の海外組が控えていることも忘れてはならない。

 その意味で、逆転負けは物足りないのだ。エクスキューズを乗り越えたパフォーマンスを、選手たちは見せなければいけなかった。

 テストに合格したとは、言えないのである。

[引用/参照:http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150803-00823864-number-socc]

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