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イチロー古巣での最後の打席で凱旋弾 43秒間の沈黙 実況はマシンガントーク封印の粋な計らい

マーリンズのイチロー外野手が19日(日本時間20日)、かつて本拠地としてプレーしたセーフコ・フィールドで劇的なソロ弾を放った。

古巣マリナーズ戦に「9番・ライト」でスタメン出場し、9回の最終打席で今季初本塁打をマーク。2015年のマーリンズ移籍後、初の凱旋試合となったベテランの一発に会場は興奮に包まれた。

その一戦を中継した地元テレビ局はその感動を伝えるために、実況と解説が約43秒間沈黙するという粋な計らいを見せた。

最大のドラマは9回に待っていた。6点を追う状況でイチローが先頭で打席に立つと、マイアミでテレビ中継をした「FOXスポーツ・フロリダ」の名物実況のリッチ・ウォルツ氏は現役時代ドジャースで新人王を獲得した解説者のトッド・ホランズワース元外野手に

「イチローです。あなたが指摘した通り、これがシアトルでプレーする最後の打席になるかもしれません。マーリンズは2011年以来、ここでの試合がありませんでした」

と語りかけた。

直後、イチローは右腕マーシャルの初球をフルスイング。右中間席に今季1号ソロを運んだ。この日の第2打席でもヒットを放っており、今季初マルチ安打。

古巣凱旋試合3連戦の最終戦最終打席で見せた一打に、スタンドからは「イチロー・コール」が沸き起こった。

ソロ弾の瞬間、実況のウォルツ氏も

「イチローがライトに打った。深い。これは…入った! 彼がかっ飛ばした! イチローがホーマーだ!」

と絶叫。しかし、テンションの高いマシンガントークで有名な同氏と、ホランズワース氏はイチローが二塁を回ったあたりで突然、沈黙した。

立ち上がって拍手を送る観衆。スタンドで打球をキャッチし、ハイタッチする男性ファン。「男前」の特製ボードを掲げて喜ぶ日本人ファン。「イチメーター」の日米安打数を「4311」に変えるエイミー・フランツさん。

テレビカメラが興奮する会場の様子を次々と映し出す中、クールにダイヤモンドを一周したイチローは次の打者とグータッチすると右手を短く上げて、スタンドの観衆に「サンキュー」と感謝の気持ちを伝えた。

ダグアウトの最前線ではマッティングリー監督らチームメートが祝福していた。

その間、実況と解説は一切、言葉を挟まなかった。

異例の43秒間の沈黙とともにその情景を克明に映し出すことで、イチローの凱旋弾という最上級の“ドラマ”はさらなる感動を呼んだ。

ゴードンが打席に立つと、ウォルツ氏は「何てドラマチックなんだ。ワオ」と吐き出し、ようやく沈黙を破った。

ホランズワース氏も「(イチローは)驚いているんでしょうか? 私はそうは思いませんが。これ以上の脚本を書けますか?」と語り、「タイミングの問題だったのでしょう。スイングが戻ってきた実感を感じ始めているようです」と続けた。

㊧リッチ・ウォルツ氏 ㊨トッド氏

ウォルツ氏は最後に噛みしめるようにこう語った。

「セーフコ・フィールドでの最後の打席になる可能性があります。セーフコ・フィールドはイチローのキャリアで殿堂入りを確固たるものにした場所です。そこでイチローがホームランです」

地元テレビ局の約43秒の沈黙という異例の計らいが、シアトルでのイチローの凱旋弾のドラマ性を一段と際立たせていた。

[via:http://news.livedoor.com/article/detail/12964290/]

同僚は敬意「彼なら当然」

マリナーズ時代、輝かしいプレーを見せてきた古巣でアーチを描いたイチローについて、MLB公式サイトは「イチローはいつもセーフコ・フィールドの観客を興奮させてきた。それは、もしかするとMLBでのキャリアで最後となるかもしれない今回の凱旋でも変わらなかった」と記述。

「これは忘れられない特別な一打になりますね」という本人のコメントを紹介したが、チームメートは「イチローならば当然」と受け止めていたようだ。

イエリッチは「彼が打った時はベンチに座っていたんだけど、『彼なら当然』という感じだったね。他に何を期待すればいいんだ?」と話したといい、数々の記録を打ち立ててきた日本のレジェンドに敬意を示している。

記事ではイチローがベースを一周する際に、敵軍のロビンソン・カノとカイル・シーガーがアイコンタクトを送り、観客もスタンディングオベーションとなり、イチローがダグアウトに消えてからも「イチローコール」が続いたことを紹介している。

記念球捕ったファンは

試合後、ホームランボールを掴んだシアトル在住のケヴィン・シャノンさんは、マリナーズ関係者からの依頼を受け、歴史的なボールとイチローのサイン入りボールの交換に応じ、

「イチローが大好きなんだ。自分が見てきた中で最も素晴らしい選手の一人だね。僕の野球好きとしての魂はイチローによるところが大きいよ」

と話したという。

また、地元紙「マイアミ・ヘラルド」は「マーリンズのチームメイトたちは、誰一人としてイチローがその一打を放ったことを驚きには感じていない。

そして、マリナーズファンや野球ファン達もみな同様の気持ちだろう」と記しており、今季不振を極めていてもイチローが本塁打を放つことに何ら驚きはないようである。

さらに、マーリンズ先発・ボルケスは「彼はキングだ。彼はこの球場でとても愛されている。今日、彼が本塁打を放ったのは、彼の友達、チーム、そして彼自身にとっても素晴らしかったね」と古巣でアーチを描いたベテランを称賛している。

[via:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170420-00010002-theanswer-base]

※スタンドの観衆の表情はクリックで拡大

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